12月16日(木)

朝方何回か目が覚めたが、結局6時過ぎに起床。とりあえず睡眠時間は十分だが、すっきりお目覚めとはいかない。

朝の支度の後、無線LANでのインターネット接続を試みるが、アクセスポイントが見つからない。それではと思ってロビーに行ってみたが、そこでもアクセスポイントが見えない。なぜだ。

7時から朝食。朝食会場はほぼ満席。麺か卵焼きか選べといわれたので、私と安斎くんは卵焼き、咸さんは麺を頼む。ところが、しばらく待っていると卵焼きが3つ来たので、苦情を言って咸さんの分を麺にしてもらう。


その後部屋に戻りシャワーを浴びる。そこで、飛行機に乗るときにPCの無線LANをOFFにしていたことを思い出した。なんだそういうことか。「無線LANがつながらない」とかホテルに苦情を言わなくてよかった。

8時にホテルを出発。地下鉄に乗り、ブオナ・ビスタまで。会場に8時45分頃着き、9時からキーノート。

9:00- Keynote

Robots and the Human (Oussama Khabib, Stanford U)
この人の話は確か2008年のAIMで聞いたような。昨日はシンガポールで開催されているロボティクス関連の別な会議に出ていたそうだ。
・最初に1980年代に作ったデモビデオの上映。産業用ロボットとか物理モデルなど。
・産業応用から現在のロボティクスまでの流れの説明。
・ASIMOプロジェクト。現状のロボットは環境とインタラクションする事が難しい。たとえばASIMO Showではロボットに触ることができない。
・Multi-Contact Manipulationは難しい。
・Human-guided Robot Manipulation
    人間がASIMOの手をとって座らせたり、物の持ち方を教えたりする
・環境のセンシングと認識
    複数のモダリティ(ビジョン、力覚、触覚など)の統合
・チャレンジ
    センシングと認識(非統制環境、リアルタイム)
    プランニング、制御、スキル
        (超大自由度、移動とマニピュレーション、学習)
    人間・ロボット間インタラクション(物理的・知覚的)
    機構とアクチュエーション(効率、安全性)
・安全性に関して
    安全性と性能のバランス
    安全性の指標
        Normalized Effective Mass
    重力に耐えてしかもNEMが小さいシステムを作るには
        2つのモーター(低周波で大トルク+高周波で大トルク)を組み合わせる
    S2ρ(Stanford Human-Safe Robot)のデモ
        非常に細い腕(皮膚もある)、高い安全性
・Mobile Manupulation
    Romeo & Juliet (1993)の紹介
        移動しながらマニピュレーション
        ロボットが物を把持し、人間が移動方向をガイド
    ASIMO
        複数マニピュレータ、バランス
・関節制御、全身制御
    人間は逆動力学的な制御をしていない
    タスクにおけるポテンシャルの定義とその最小化
    人間に学ぶ:モーションキャプチャと、そのモデル化
        筋肉のエネルギー消費を最小にする制御
        制御点だけを指定してロボットの全身制御のシミュレーションをするデモ
    SAI Neuromascular library
        階層的マーカートラッキング
・Human Motion Reconstruction
・Contact/Collision Resolution
    複数の物体の接触・衝突及びその影響をリアルタイムに計算する
・統合的なフレームワーク
    タスク、姿勢制御、多点接触、衝突などなど
全体にデモも多く、ロボティクス関連でない人相手なので説明も分かりやすく、とても面白かった。

この後コーヒーブレイク。

コーヒーブレイクの後、午前のポスターセッション。うちの研究室から安斎くんと咸さんが参加。

発表は二人にお任せで、私はほかの発表を聞く。音響学会で聞いた話も多いので、できるだけ聞いたことがない発表を中心に回る。

10:30- Speech, Language and Audio(聞いたものだけ)

Training Data Size Requirements for Topic Classification in a Speech-Oriented Guidance System (NAIST)
たけまるくんシステムの発話のクラス分類。入力からいきなり応答を選択するのではなく、いったんクラス分類をしてから、選択されたクラスの中で応答を選択 しようという立場。クラスは「天気予報」とか「あいさつ」という粒度で,実験に使っているのは15種類。SVMとMEを使い、学習データ量と識別率の関係 を調べた。また、大人・子供音声では、子供音声の方が認識性能が低いので、クラス識別性能もそれに引きずられる形で低くなる。識別性能はSVMとME で同じくらいだが、MEの方が高速だし多クラス識別なので、性能が同じならMEの方がよいという説明。

A Sinusoidal Audio Analysis and Synthesis Model Based on EMD (Beijing U of Tech)
Empirical Mode Decompositon (EMD) を使って非調波成分を取り除いてから正弦波モデルで信号をモデル化。EMDについては詳しくないが,信号の性質によって自動的にバンド幅の決まるフィルタ バンクみたいなものだと理解した。EMDで高周波数に対応する成分を取り除いてから正弦波モデル化することでPEAQによるODGがやや改善する。全体的 にODGが低いのがちょっと気になる。

Frame Erasure Concealment Method Based on Multi-frame Fractal Prediction (Beijing U of Tech)
G.722.1(高品質音声符号化)のパケットロス隠蔽。G.722.1ではMDCTの親戚のMLTによってフレームを分析しているので,過去5フレーム から「フラクタル予測モデル」によって消失フレームのMLT係数を予測する。パケットコピーとの比較しかなかったので,「線形予測より性能がよいのか?」 と質問してみたら,線形予測はパケットコピー以下の性能だったとの答え。予測次数がよくないのではないかという気もするが,うちでの研究結果とは整合す る。フラクタル予測モデルはちょっと興味を持った。

セッション後半は会場を抜けて、30分ほど苣木先生と打ち合わせ。いま執筆中の本の付録CD-ROMについて。

セッション終了後、横のホールでランチ。焼きそばとかチャーハンとか。団子みたいなものににミートソースみたいなのをかけて生タマネギと一緒にいただくものが珍しかった。
 

その横には、デザートとしてアイス・カチャン(あんみつのかき氷)があったので試してみる。トウモロコシが入っているのがちょっと変かと思ったが、食べてみると案外いける。


食べ終わった後、30分ほどあったので、電池を買いに外へ。ポメラの電池が切れそうなのだが、うっかり電池をホテルにおいてきてしまった。会場のビルに小 さい売店があったのだがスナックと飲み物しかなくて、隣のビルではセブン−イレブンが閉店していた。しかたないので駅まで歩いて、駅の中にあるコンビニで 電池を買う。ついでに水も買った。


会場に戻って、午後前半はデータハイディングのパネルを見るはずだったのだが、やってないので受付で聞いてみたら、午後後半に変更になったらしい。仕方ないのでフォーラムセッションを聞く。

13:00- The next 10 years of APSIPA

APSIPAの将来についてのパネルセッション。司会は古井先生。
前半は各パネリストの発表。
Wen Gao (Peking U)
Yo-Sung Ho (Gwangju Inst of Tech)
Juwu Hwang (Sun Yatsen Univ)
Mohan S. Kankanhalli (Nat U of Singapore)
Sanjit K. Mitra (U of Southern California)
Wan-Chi Siu (Hong Kong Polytechnic U)
後半はパネル。
・産業界の人たちと連携するにはどうするか
・論文誌を立ち上げるかどうか。Open-access にするか。

セッション終了後、最後のセッションはあまり関連がないので、ホテルに戻って仕事をすることに。電車でラベンダーまで戻る。
 
途中の電車で日本語が聞こえたので何かと思ったら、中学生ぐらいの女の子数人が日本語でしゃべっていた。地元の日本語学校の子らしい。

4時前にホテルに戻る。10時間のインターネットアクセスチケットを買って、メールの読み書き。仕事が一つ入っていて、結構時間を食ってしまった。

6時過ぎに咸さんから連絡があり、安斎くんと2人で夕食をとるということなので、私は単独行動。

仕事が7時過ぎに片づいたので、学生を連れては行きにくいゲイラン付近でなんかB級の物を食べようと出発。ゲイラン付近はホテルが激安だったのだが、周辺 の雰囲気が今一つだというので避けた経緯がある。しかしその後で調べると、必ずしも治安は悪くないとか、B級グルメスポットだとかいう情報もあったので、 一人ならいいかというわけ。

さて出かけようかと支度していたら、腕時計を床に落として、時計のバンドが取れてしまった。固定用のピンがどこかに行ってしまって、腕時計ができない。こんなことなら昨日「3つで10ドル」の中に時計を1個入れればよかった。

地下鉄でラベンダー駅から2つ目のアルジュニード駅で下車。 
 
駅前はなにもなくて寂しい感じだが、そこから少し歩いたあたりが繁華街。

ここがシンガポールの歌舞伎町・・・というわけだが、歌舞伎町みたいに高級な店があるわけではなくて、店はどれも庶民的。まずは町を30分ぐらい歩いて偵 察する。メインの通りをちょっと入ったところには、仏像があってお供えものが絶えない。どういう人たちがお参りしているのかを考えると、ちょっと複雑な気 持ち。

ゲイラン通りに沿って15分ほどいったりきたりする。途中横道に入ったりしてみたが、ポン引きがいて「ボース、チュウゴクムスメ、イルヨ」とか言われたのであわてて逃げる。シンガポールではシャチョサンではなくてボースだというのが新たな発見。

インターネットでホテル予約をするときに、泊まろうかどうしようかと思ったホテルも、通り沿いにいくつか発見。次に来たときにはここに泊まっても大丈夫だな。値段は今回のホテルの半額だし。

通りの様子を一通り観察したところで、3つで10ドルの店を発見したので、腕時計を買う。1個だと4ドルなのだが、欲しい物があと2つなかったのでやむを得ない。


駅まで戻る途中に蛙料理の店があったので、蛙(田鶏)のお粥を食べることに。

ついでにビールも頼む。お粥は土鍋みたいなものにたっぷり入っていて、結構なボリューム。味はあっさりしている。蛙は特に癖もなく、鶏肉というよりもフグみたいな味。小骨が多いので食べにくい。
 

結構食べて店を後にする。さらに駅に向かう途中で、その場で食べられる果物屋があり、山のようにドリアンが積んであったので、一つ挑戦することに。その場 で食べるように、塊2つで売っているのだが、一皿20ドルぐらいから5ドルまでいろいろある。なにが違うのかわからないが、5ドルのをくれといったら、店 のおやじが「うまいから12ドルのにしろ」という。断ったら、「一皿10ドルにまけてやる」というので、試しに10ドルで買ってみた。


ドリアン自体は以前ハルピンで食べたが、あのときの物よりも香りが強くて、肉がどろどろしている。こういう感じの物が珍重されるのかなあ。においは相変わ らずタマネギ臭いのだが、味はまあまあ。かたまり2つはちょっと多いな。べたべたするし、素手なので食べにくい。隣でドリアンを食べているカップルはペー パータオルを山のように使っている。


というわけでドリアンを完食し、電車でラベンダーまで戻り、21時過ぎに宿に戻る。何事もなくてよかった。ホテルのエレベータで咸さんと会う。

部屋に戻って、1時間ほどメールの読み書き。その後日記を書いて、23時過ぎに寝る。


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