11月23日(火)

朝4時半頃起床。日本時間でもまだ早いが、目が覚めてしまったのでそのまま起きる。胃がもたれているので朝食は要らないかと思っていたが、メールを読んだ りするうちに寒くなってきたので、1個残っていたカップめんを食べる。雪菜が入っているのだが、香りが悪くてあまりおいしくない。

時間があるので、twitterへのアクセスを試みる。中国からはtwitterへのアクセスが規制されているので、ブラウザからはtwitterを開く ことができない。VPNが通ればいいのだが、なぜかVPNもうまく動かないので、大学のマシンにSSHでログインして、コンソールベースのtwitter アクセスを試みる。2時間ほど苦労した後、emacsのtwittering-modeを使ってアクセスすることができた。

出発前にシャワーを浴びる。この建物の水道水はなんかカビ臭い。飲まないからいいけどね。水道タンクの中がどうなっているのか想像したくない。

7時半頃出発。


コートを着ないで外に出たのだが、思いの外寒かったので、戻ってコートを着ることに。ついでに、外のローソンで水と箱ティッシュを買う。

ということで一度部屋に戻り、コートを着て出発。歩いて5分ほどで会場の華亭賓館へ。太い道路を渡るが、上海には信号があってよかった。


2階の registration deskに行って受付。受付をしてみると、予想通りトラブルが。銀行振込で参加費を払っているのだが、中国側の銀行で手数料を引かれているので、その分を 今ここで払えという (130元ぐらい)。日本から送金するときに、参加費のほかに日本側での送金手数料をこちらで払っているのだし、そんなことはウェブサイトに書かれていな いので、「それは中国側の問題だから俺は知らん」とゴネて、踏み倒す。


今回の学会バッグはバックパック。しっかりした作りで、使いでがありそうだ。紙のプロシーディングスが2冊ついてきて、激しく重い。勘弁してくれ。捨てて 帰ろうかな。

8時半からオープニング。主催者挨拶、来賓紹介とあいさつ。

その後会議の概要紹介。投稿数698、受理論文数346。採択率がちょうど50%になるように 論文数を決めたっぽい感じ。20の国から投稿があったらしいが、本当にそんなに投稿があったんだろうか。会場を眺めると、非中国人がちらほらと見受けられ る。

その後キーノート。今日はキーノートだけが6件あり、一般講演はない。

○Automatic Speech Recognition Technology - Where we are, and where we should go - (Sadaoki Furui, Tokyo Inst. Tech.)
古井先生。

・音声認識の5つの世代
    1G (1952-1968): 音素、数字など対象、アナログフィルタバンク。システムの写真がおもしろい。
    2G (1968-1980): 孤立単語対象。DTW。DPマッチングが1968年にソ連で発明されていたのは初めて知った。
        連続音声認識(DARPA)。Hearsay,Harpy,HWIMなど。
    3G (1980-1990): 連続音声認識。統計的枠組み(ケプストラム、HMM、N-gram)。ニューラルネット。
        連続音声認識(DARPA Resource Management Task)。
    3.5G (1990-2000): 耐雑音・話者独立・話者認識、識別学習など
        連続音声認識(DARPA ATIS, WSJ/NAB, Switchboard)
        自由発話音声(CSJ, Meeting speech)
        Multimodal speech recognition
    4G (2000-)
・最近の東工大での技術開発
    METI Project (Speech recognition in car environment)
    WFSTデコーダ (T3)
    アイスランド語認識
・進歩した技術の総括
・人間の認識能力との溝を埋めるには
    この辺は時間がないのでスキップ。
・統計的知識処理

○Signal Processing for Distributed Multi-Camera Networks: Theory and Applications (Dan Schonfeld, U of Illinois at Chicago)
カメラネットワークを使ったイベントのトラッキング、検索、認識。
・HMMを使ったカメラ間の物体トラッキング。
・パーティクルフィルタ
・カメラ間の移動関係をグラフで表現する。2つのカメラに物体が同時に移り込む確率を計算。
・Tensor HOSVD: よくわからない。
・ループのあるHMMを近似的にループのないHMMに展開
・Viterbiアルゴリズムの変形によってオブジェクトの追跡
ということなのだが、スライドの字が読めなくてよくわからなかった。

ここでコーヒーブレイク。コーヒーは香りがなくてインスタント風味。クッキーが少々出たが、あっという間になくなる。


前の発表でスライドが見えなかったので、次はできるだけ前に座る。

○Machine-Learning Based Data Processing and Software Platform for Biochemical Applications (Dong Xu, U of Missouri)
・バイオ分野での信号処理。遺伝子系列と蛋白。
・蛋白やアミノ酸などの挙動(Post-Translational Modification, PTM)と論理回路の類似性。水酸基が一時的に他の官能基(リン酸など)に置換される。置換状況が情報処理の機能を持つ。
・蛋白がどのようにリン酸化されていて、それがどのような情報処理に関与しているかの解明
・Phosphorylation site prediction: 蛋白中のアミノ酸がリン酸化されているかどうかの予測
・問題がbinary classificationなので、機械学習を使って性能を上げる
・特徴量
    kNN - 複数のkについて、kNNによってスコア(リン酸化しているサンプルの比率)を求め、そのベクトルを特徴量とする。
    Disorder score - 蛋白の中でαヘリックスとかβシートなどの明確な構造を持っていないところがdisorder region。アミノ酸系列のdisorderらしさがdisorder score。Disorder scoreが高いほどリン酸化しやすい。
    アミノ酸頻度 - 注目する点の周辺でのアミノ酸の頻度を頻度ベクトルとする。
・分類器:各特徴量についてSVMを学習し、バギングで統合
・実験:対象は人、マウス、ショウジョウバエ、酵母などさまざま。アミノ酸はセリンとスレオニン。識別率(AUC)は70〜90%。生物種間の予測性能も 高い。
・実験用ソフトウェア Musite: オープンソース(sourceforge)

ここで昼食。隣の南華亭酒店のレストランでバイキング。前回(2008年)と同じパターンだ。味はそれなり。



座った席の横の中国人がアメリカのソニーでプレイステーションに関連した音声関係の開発をしている人だそうで、ちょっと話をする。

食後は会場で日記を書いたり、発表一覧を眺めたりして過ごす。13時半から午後のキーノート。

○Virtual Geographic Environments (VGE): a New Geographic Language (Hui Lin, CUHK)
地理情報システムと言語。
・最初に「地図からGISまで」。さらに仮想地理環境(VGE)へ。
・Google Earth, Virtual Earth, 80 Gigapixels London
・従来のGISの理解:地図、データベース、可視化
・GISからVGEへ:単なるデータベースと地図では不足
    例:津波の予測と警報 3次元的理解、シミュレーションなどを統合する必要がある
・VGEに基づく地理空間知覚(Geo-spatial cognition)
    どのように提示したら本物っぽく感じるか?
        3D、マルチモダリティ、AR
    シミュレーション:洪水、気流、気象
    Cross Reality
・ケーススタディ:CUHKのキャンパスマップ (Virtual Campus)
    セカンドライフ風の仮想キャンパス
    昔のキャンパスを歩くことができる
    仮想教室
タイトルに「言語」とあって、可視化が言語だみたいな話もあったのだが、具体的になにがどう言語なのかはよくわからなかった。話はおもしろかった。

○Biometric Challanges in Nephrological Bioinformatics (Peter Song, U of Michigan)
"Nephrology" は腎臓病学らしい。
・非侵襲的方法は診断精度がいまいち、侵襲的方法は苦痛がありコストも高い→データ処理で診断精度が上がれば嬉しい
・バイオ情報学で薬の効果測定がうまくできれば、診療の質の向上に役立つ
・Kidney Paired Donation (KPD) Program
    腎臓の寄付をマッチングする取り組み(米国では内臓の売買は違法だが贈与は合法)
    腎臓移植:生体移植の方が成功率が高い
    待機リストが長い(2010年10月で86000人ほど)
    「型」をあわせる必要性:血液型の他にHLA(Leukocyte Antigen)型
    ▲家族が臓器提供をしたくてもできない
    患者と提供者のペアが複数あって、それらの提供者を入れ替えるとちょうど型が合う場合、腎臓を交換することで生体腎移植の機会を増やす
    1対1の交換だけでなく、n対nでの交換まで考慮に入れる
    バイオ情報学的に臓器提供プールから型の合う可能性のあるペアを抽出し、その中だけで実際に適合試験を行う
    あまりに多くの人が関連する交換プランは考慮しない(途中でトラブルがあると困るので):最大3〜4ペア
    「有向グラフから、互いに排他的な巡回部分グラフをできるだけたくさん作る」という問題に帰着する
    整数計画法による解法
    その他の要因(移植を受けた人の余命など)を考慮に入れた最適化
・Nephrological Syndrome Study Network (NEPTUNE)
・人工腎臓開発プロジェクト
話はおもしろかったのだが、午後のキーノート2件とも話が延びてしまい、20分ほど進行が遅れる。ここでコーヒーブレイク。

コーヒーブレイクの間に、受付に行って領収書を頼む。頼まないと参加費の領収書がもらえないのだ。ここでまたお金を払え払わないの押し問答。結局明日また お願いすることに。

○Emergent 3D Video Technologies and Practices (Liang-Gee Chen, National Taiwan U)
内容はタイトルの通り。つかみはアバター。
・最初の両眼立体視はレオナルド・ダ・ヴィンチによる。
 最初の立体写真は1860年頃。
・両眼立体視の原理と、その他の立体感に関するキュー。
・提案システム。複数の立体感キューを併用して立体感を増す。
    必ずしもステレオでないコンテンツから深さ情報を推定する(動きも利用)
    複数のキューによる深さ推定結果を線形結合:重みは決定木により推定
・臨場感に関する人間の感覚の問題
・マルチビュー・マルチユーザ3DTV

終了が16時半ぐらいで、18時からバンケット。時間があるので、いったんホテルに戻って荷物を置くことに。

10分ほど歩いてホテル。少しメールを読み書 きして、再び会場へ出発。

会場に行く途中の道を少し横に入ったところに商店街を発見。後で見に来よう。


会場に戻って、15分ほど待ち、18時を少し回ったところで開場。バンケットなのだが、単に食べ物を取って座って食べるだけ。中国らしく、特に挨拶もなく 、なし崩しに始まる。料理は焼きそばとかチャーハンとかの満腹系。お一人様1200円の中華バイキングって感じ。



適当に座ったら、隣の人は明日共同で座長をやるポーランドのBaltosz Ziolkoだった。彼とは2008年のICALIPでも会っている。いろいろ話をしたが、今日の韓国と北朝鮮の軍事衝突の話も出た。

始まって15分ほどでアトラクション。上海大学の人が中心で中国楽器の演奏と歌。オペラ歌唱的なのもあったが、多くは伝統的中国歌唱。


1時間ちょっとで出し物が終わり、中国人は三々五々帰っていくので、私もそのあたりで失礼する。帰りがけに、先ほどの商店街をちょっとのぞく。ビルの谷間 の月が美しい。

ホテルとなりのローソンの品揃えがいまいちなので、商店街にあったファミマで買い物。明日の朝ごはんにおにぎりとカップめん。昨日食べた康師傳のカップめ んがおいしくなかったので、日和って日清のシーフードヌードル。ちなみにファミマ入店音は日本と同じだった。

ホテルに戻って軽く明日の練習とか。10時ごろ寝る。

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