10月16日(土)

今朝も2時半頃目覚めて、もう一度寝て5時半頃起床。メールをチェックして、少し日記を書く。7時ちょっと前に朝食。
 

朝食後少し仕事をして、8時半頃会場に出発。外は小雨。傘をさすほどではない。寒い。


9時からキーノート。

Image Steganography: Challanges and Strategy (Jiwu Huang, Sun Yat-sen U)
・Steganographyとは何か
・Steganographyとwatermarkingの違い
・Steganographyの評価基準:Security, capacity
    imperceptibleとundetectableの違い
    Securityの評価基準:
        原画像とステゴ画像の分布間のKL-divergence
        Maximum Mean Distance
        SteganalyzerのROC曲線特性による評価
・Steganalysisとは何か
・Steganalysisの種類、方法について
・Non-adaptive vs. adaptive steganography
・Adaptive steganography
    埋め込みを行う画像、領域を選択する(複雑な方がよい)

チュートリアル的な内容で、最後にちょこっとだけ独自の方法の話。埋め込みを行う領域を選択するという手法は、私が以前やっていたG.711への情報埋め込みと同じ考え方(というか、adaptive steganographyの先だと思うが)。

コーヒーブレイクの後、午前のセッション。関連するものはないが、遊びに行きたい天気でもないし、仕事をする場所もあまりないので、適当にセッションを聞く。

High-Performance Networking, Digital Content and Ubiquitous Computing

・The Study of Video Conference Transmission Security as an Example on Polycomm (Chinese Culture U)
No Show.

・Mobile Ad Hoc Network Application in the Library (Chinese Culture U)
モバイル機器のアドホックネットワーク(MANET)を使って、図書館の中でいろいろやるというシナリオを開示。実際にシステムを作ってるのかなあ?お話だけのような気がする。

・Early Warning System for DDoS Attacking Based on Multilayer Deployment of Time Delay Neural Network
(Chinese Culture U)
No Show.

・Factors Affecting Consumers' Motivation in Online Group Buyers (Chinese Culture U)
オ ンラインショッピングにおける消費行動で、消費の動機に対して影響を持つ要因は何かという研究。何でここで発表しているのかよくわからない。このセッショ ンは中国文化大学セッションらしいので、ついでに発表してみたということだろうか。同じ大学の発表でオーガナイズしているにしてはNo Showが多いけど。

・Visual Development Platform for White-box Algorithm Trading (Chinese Culture U)
No Show.

・Building Enterprise Data Centers Using Virtual and Cloud (Chinese Culture U)
仕事にはVMware のクラウドサーバを使いましょうという話。なにがポイントなのかわからん。VMWareの営業でももっとましなプレゼンをするだろう。

どの発表も5分ぐらいで終わってしまい、質問もないので全体が30分未満で終了。実にIIH-MSPらしいセッションだった。

こ のセッションのような発表であっても、(来るかもしれない)参加者にとって興味がもてるような発表の仕方というのはあると思う。もうちょっと研究の背景と か、ビジネス動向とか、そういう情報を盛り込んで分かりやすく発表してくれれば、内容が技術的でなくても興味を持って聞けると思うんだよね。

この後どこかのセッションを聞こうかとも思ったのだが、気持ちが萎えたので、コーヒーブレイクの部屋で仕事。KK君の論文の直しをする。ほぼ全部直したところで新バージョンを送ってくるとか。勘弁してくれ。

1時間ほど仕事をして、昼食。鵜木先生、栗林先生、脇山先生とご一緒する。
 

14時から午後のキーノート。

Privacy and Transparency: Google and Financial Markets Challange Internet? (Guenter Miller, U. Freiburg)
・金融危機の解析
2009年の米国株取引の61%は自動取引
金融パッケージ商品取引:tracabilityが重要
    金融商品の内容、情報(取引)のフローの両方のtracability
いろいろなところで行われる意志決定を全体として制御するにはどうするか:全能の観測者 (Omnipotent Observer)
・Bruce Schneier:セキュリティの工場に必要なことは3つあるが、どれも技術とは関係ない
・Mechanism follow Technology
Trust model: 知らない物は信用するしかない
    昔:Authorization
    この10年:Authentication
    現在:Reliable and probable Security
・実例:Malware Usability Chip&Pin

・The Control Challange
全能者モデルはよくない
Secure Multiparty Computing
    A.Yao (1982) Discrete Omnipotent Observer
Information Completeness
    Design -> Monitoring

・The Privacy Challange
Googleが自分のデータをどう使っているのかをコントロールする

・ダイクストラの壁
    実世界を計算する:Decontexturization
    計算結果を実世界に適用:Recontexturization

信号処理とはだいぶ毛色の違う講演だったが、興味深く聞くことができた。こういうのを直接研究テーマにするのは難しいけどね。

その後は私も発表するいつものセッション。


Advanced Data Hiding and Coding Techniques for Audio Signals
・Aerial Acoustic Modem with Decoding Capabilities Using a CELP-based Speech Encoder (Tokyo U of Information Sciences)
西 村明先生。空気伝搬する音楽みたいな信号にデータを乗せる Melodic aerial acoustic modem。ピッチ周波数を5ビットのグレイコードに対応させて、ピッチ抽出によって情報を取り出す。とりうるピッチは半音単位。ピッチ抽出にCELP コーディングのエンコーダをそのまま使うところがミソ。さらにピッチに制約を入れることで、信号が音楽っぽくなる。ビットレートと音自体の聞いた感じの良 さのトレードオフ。コード進行も入れることで、ビットレートは下がるが聞いた感じで音楽っぽくなる。

・Improvement of Packet Loss Concealment for MP3 Audio Based on Switching of Concealment Method and Estimation of MDCT Signs (Tohoku U)
私の発表。練習が足りなかったなあ。

・Audio Information Hiding Based on Spatial Masking (NICT)
西村竜一さん。音の方向によるマスキングを情報ハイディングに使う。Ambisonicsによる立体音響が対象。モノラル音楽を適当な方向に定位させ、その近くにPN系列を定位させる。PN系列の方向がわかれば、その信号だけを取り出すことができる。

・Design of IIR All-pass Filter Based on Cochlear Delay to Reduce Embedding Limitations (JAIST)
鵜 木先生。蝸牛遅延による情報ハイディングで、1フレームに複数のビットを埋める方法の比較検討。去年のIIHMSPで提案したall-passフィルタの 並列化による方法のほかに、直列接続による方法も検討。結果として、並列化による方法の方が埋め込みビットレートの上限が高い。

・An Audio Steganography by a Low-bit Coding Method with Wave Files (Kitakyushu National College of Tech)
脇山先生。PCの接続がうまくいかず時間をとられる。PCM形式の音楽に対するLSB置換。サンプル値の大きさによって埋め込みビット数を変えることもやっているが、正直どこが新しいのかわからん。

・A Semi-Lossless Steganography Technique for G.711 Telephony Speech (Hokkaido U)
青 木先生。以前提案したG.711のロスレス情報ハイディングを拡張。元の方法はG.711に+0と-0があることを利用したが、今回の提案法は元の信号の 絶対値を一斉に+1して、+1,+0,-0,-1に情報を埋める。全部の信号の絶対値を-1すれば、クリッピングされない限り元の信号を復元することがで きる。同様に絶対値のシフト値を変えると、埋め込みビットレートを増やすことができる。電話音声なので、「ロスレスなのはいいけど、誰が元音声を復元するのか?」というコメントをした。

・A New Approach of Reversible Acoustic Steganography for Tampering Detection (GUAS)
越 前先生の学生さん。録音を編集したかどうかを検出するために、音響ステガノグラフィを使う。入力をブロックに区切り、その部分のデータのハッシュを求める。 次に、同じブロックをInteger DCTで周波数領域にして、その高域の値を1ビットシフトして場所を空け、そこにハッシュの値を埋める。元に戻した信号がオーバーフローするときは、最低 域のデータを半分にして、失われる最下位ビットを高域に埋めておく。検証では信号を元に戻して、埋めてあるハッシュと信号から再計算したハッシュを比較す る。

質疑の時に、司会の青木先生に質問を無茶振りされて難儀した。とはいえ、音響信号のように「消えてなくなる」物に対するリバーシブル透かしがどういうアプリケーションに有効なのかは考える必要があるなあというのが感想。

この後バンケットまで少し時間があるのだが、外は雨模様だし、ホテルに戻って何かするほどの時間はないので、ロビーに座って何人かでだらだらとしゃべりながら時間をつぶす。

18 時過ぎにバンケット会場に移動。
  

Darmstadtiumの裏にあるFraunhofer IGDが会場なのだが、いってみると特に広いとかいうことではなく、狭い中にぎっしりテーブルがある。


食べ物は外にあり、「外でとってきて中で食べる」と いうスタイル。どうも慣れないなあ。最初に主催者挨拶が一瞬あって、あとは食べ放題。セレモニーとか何もないのね。


みんなが一斉に料理に群がってサバイバルディナー状態だったので、30分ほど酒だけ飲んで、料理に群がる人が落ち着くまで待つ。
 
しばらく飲み食いして、途中でBest Paper Awardの発表と来年の開催地である大連の紹介。西村竜一さんがBest Paper Awardをゲット。おめでとうございます。


イベントが終わって、あらかた飲み食いが終わると、中国人たちは三々五々帰っていく。もう周りがすっかり寂しくなった頃、20時過ぎに我々のテーブルも解散。

宿 に戻って、明日の計画をちょっと立てる。明日は午後からどこかにいく予定。ハイデルベルクに行くつもりでいろいろ調べていたら、マインツで今日までオク トーバーフェストをやっているらしい。これは行くしかないかと思ったが、会場が郊外だったのでちょっと行くのが大変かなと思い、やっぱりハイデルベルクへ 行くことに。列車の時間など調べる。

22時頃寝る。

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